探偵神宮寺三郎 白い影の少女

解説

おなじみ神宮寺シリーズのゲームボーイアドバンス版。ネオ推理システムやパートナーシステムなど、新システムが搭載されている。

レビュー

 携帯ゲーム機用ということからか、とてもライトな作りで「神宮寺シリーズの正式な新作」というよりも「番外編」といった感じだ。その証拠に(?)今回は誰も死なない。事件らしい事件は起きないのである。ストーリーも小ぶりで、依頼を受けた瞬間に結末がなんとなく予想できるほどだ。神宮寺シリーズに「複雑な謎解き」とか「練りに練られたストーリー」なんてものは期待していないので、これで十分だと思う。最後はちょっぴり感動できるし。

 パートナーシステムは、はっきり言って意味がない。成長させるとプレイヤーの間違いをフォローしてくれるのだが、そこまで成長させるには何度もクリアしないといけないので、間違えることなんてなくなってしまう。洋子くんを育ててどんなにかしこくしても、4周目の神宮寺には宝の持ち腐れなのだ。親密度を上げると、神宮寺と洋子の間に恋が芽生え、ストーリーが変わるぐらいのことはしてほしかった。

 ネオ推理システムもよくない。アドベンチャーの面白さのひとつに「わざと間違った選択肢やふざけた答えを選ぶ」というものがある。PCエンジンの「スナッチャー」なんかその典型で、笑っちゃう選択肢が用意されたいた。本作にもふざけた選択肢が登場する。しかし、それを選ぶと瞬時にゲームオーバーなのだ。

 小さな不満はあるけれど、全体的に完成度は高いと思う。いや、完成度うんぬん以前に、今でも神宮寺シリーズを出してくれる、というだけでうれしい。さらに言うならワークジャム自身も神宮寺シリーズが好きで、商売抜きで作っていてくれるような気がする。それがなによりもうれしい。

 スタッフロールを見ていたら、知り合いの名前を発見した。釣りゲームを作っていた別メーカーでお世話になった赤いチーム大好きな人なのだが、ワークジャムにいるとは…。まだいるのだろうか。